リグニン (


リグニン (lignin) とは、高等植物の木化に関与する高分子のフェノール性化合物で、木質素とも呼ばれる。

構造

リグニンは、光合成(一次代謝)により同化された炭素化合物が更なる代謝(二次代謝)を受けることで合成されるフェニルプロパノイドのうち、p-クマリルアルコール・コニフェニルアルコール・シナピルアルコールという 3 種類のリグニンモノマーが、酵素(ラッカーゼ・ペルオキシダーゼ)の触媒の元で一電子酸化されフェノキシラジカルとなり、これがランダムなラジカルカップリングで高度に重合することにより三次元網目構造を形成した、巨大な生体高分子である。その構造は複雑で、いまだにはっきりとはわかっていない。

生体高分子としては反応性が乏しく、リグニンを分解する事が可能な生物は白色腐朽菌のみであるが、白色腐朽菌などにより低分子化されたリグニンは Sphingomonas paucimobilis SYK-6 などのバクテリアにより分解され、無機化することが知られている。

一方、人工的な可溶化は長い間不可能とされていたが、近年になって三重大学が60%硫酸中フェノール溶液での加水分解に、明治大学が水のみによる高温高圧での加水分解に成功し、低分子化することによるリグニンの可溶化が達成されたため、リグニンの再利用への道が開けつつある。

存在

リグニンは木材中の20%–30%を占めており、高等植物では生育に伴い、道管・仮道管・繊維などの組織でリグニンが生産される。生産されたリグニンはセルロースと結合した状態で存在し、完全に木化が進行すると木部の組織では強固なリグニン構造だけ残存して殆どの細胞は死細胞化した状態になる。

栄養学的な位置付け

栄養学の分野ではピュアココア(ココア豆からカロリーの高いココアバターを絞ったいわゆる「粕」)などに含まれている食物繊維としてのリグニンは難消化のため、腸管内の残留物の排出に役立つので、肥満等の各種成人病の防止やダイエットに役立つとされ機能の研究が進んでいる。