ユビキチン
ユビキチン (Ubiquitin) は76個のアミノ酸からなるタンパク質で、他のタンパク質の修飾に用いられ、タンパク質分解、DNA修復、翻訳調節、シグナル伝達などさまざまな生命現象に関わる。至る所にある (ubiquitous) ことからこの名前が付いた。進化的な保存性が高く、すべての真核生物でほとんど同じアミノ酸配列をもっているが、原核生物には存在しない。
標的タンパク質に対するユビキチンの付加はユビキチンシステムと呼ばれ、3つの酵素、ユビキチン活性化酵素(E1)、ユビキチン結合酵素(E2)、さらにユビキチンリガーゼ(E3)によって行われる。標的タンパクのリシンの側鎖のアミノ基(-NH2)とユビキチンのC末端がアミド結合することで1つ目のユビキチンが付加され、更にそのユビキチンの中のリシン(K6、K11、K29、K48、K63)の側鎖に更に次のユビキチンが付加する、といった具合に複数のユビキチンが次々と付加されることがわかっている。ポリユビキチン化されたタンパク質はプロテアソームと呼ばれる巨大な酵素複合体のプロテアーゼによって分解される(ユビキチン-プロテアソームシステム)。また、一度標的タンパク質に結合してプロテアソームに取り込まれたユビキチンは、脱ユビキチン化酵素(DUB)によって基質から除去され、再利用される。ユビキチン化はミスフォールドタンパク質や不要になったタンパク質を細胞から除去するために重要な役割を持っている。またシグナル伝達やクロマチンの修飾にも用いられる。
なお、2004年度には「ユビキチンを介したタンパク質分解の発見」の功績により、アーロン・チカノーバー、アーウィン・ローズ 、アブラム・ハーシュコの3人がノーベル化学賞を受賞した。