神経伝達物質


神経伝達物質(しんけいでんたつぶっしつ,英Neurotransmitter) とはシナプスでシグナル伝達に介在する物質で、神経細胞などに多く存在する。


1960年代からの判断基準によれば、以下のような条件に該当する物質が神経伝達物質と呼ばれている。



  • シナプス前細胞で合成される。

  • シナプス前細胞から開口放出後、シナプス後細胞に(受容する機構があり)影響を与えるに十分な量がある。

  • 非常に局所的に作用し、内在性放出を模倣するかのように作用する。

  • 放出後に生化学的に不活化するような機構が存在する。


ただし、亜鉛イオンのように、生体内で合成とは言いがたい方法で単離されるもの、一酸化窒素のように細胞膜を透過しシナプス間隙より広い範囲に拡散するものについても神経伝達物質とみなす見方もある。


また、ホルモンも細胞間シグナル伝達に介在する物質であり、特定の分子が開口放出され受容体に結合して作用する点なども同じであるが、神経伝達物質による神経性調節は特定の細胞間で局所的に短時間で作用が及ぶもの、ホルモンによる液性調節は循環器系を通じて拡散し大局的に作用するものとして分類されている。




目次

  • 1 機序
    • 1.1 放出前
    • 1.2 放出後
  • 2 分類
  • 3 種類
  • 4 関連

機序

放出前

神経伝達物質はシナプス前細胞の細胞体で合成され、細胞輸送によって運ばれてくるないしは細胞外から吸収され、前シナプス終末にあるシナプス小胞に貯蔵される。前シナプス終末に活動電位が到達すると神経伝達物質はシナプス間隙に放出される。

放出後

神経伝達物質はシナプス間隙に放出されると、拡散によって広がり、後シナプス細胞の細胞膜上にある受容体と結びついて活性化される。受容体がイオンチャネル型の場合そのイオンチャネルが開き、受容体が代謝型であればその後いくつかのステップを経てイオンチャネルを開かせ、後シナプス細胞に脱分極ないし過分極を生じさせる。放出後は速やかに酵素によって不活性化されるか、または前シナプス終末に再吸収され、一部は再びシナプス小胞に貯蔵され再利用される(元のシナプス小胞に戻るのではなく別のシナプス小胞に充填される)。

分類

神経伝達物質は大きく分類すると以下の3つになる。

  1. アミノ酸 (グルタミン酸、γ-アミノ酪酸、アスパラギン酸、グリシンなど)
  2. ペプチド類(バソプレシン、ソマトスタチン、ニューロテンシンなど)
  3. モノアミン類 (ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、ドパミン、セロトニン)とアセチルコリン

その他一酸化窒素、一酸化炭素なども神経伝達物質様の作用を示す。

種類

  • アセチルコリン
  • グルタミン酸
  • グリシン
  • γ-アミノ酪酸(GABA)
  • オピオイド
  • モノアミン神経伝達物質
    • セロトニン
    • メラトニン
    • カテコールアミン
      • ドパミン
      • アドレナリン(エピネフリン)
      • ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)

関連

  • 脳 - 神経
  • 神経細胞 - シナプス - 受容体