水などある種


水などある種の溶媒の分子は、プロトンの供与および受容の両方を行うことができる。このような溶媒中では、一部の溶媒が溶媒同士でプロトンを授受し、イオン化している。これを溶媒の自己解離(じこかいり)と呼ぶ。




目次

  • 1 定義
  • 2 自己解離定数
  • 3 塩基性溶液中の pH
  • 4 プロトン授受性から見た溶媒の分類
  • 5 関連項目

定義

溶媒分子を、プロトンを明らかにして HSol と書くと、この溶媒の自己解離平衡は

2 HSol → H2Sol+ + Sol

と書くことができる。例えば、

水: 2 H2O → H3O+ + OH
メタノール:2 MeOH → MeOH2+ + MeO

である。ただし、遊離のプロトンが存在しているわけではない。プロトンを受容した溶媒陽イオンをリオニウム、プロトンを供与した溶媒陰イオンをリエイトと呼ぶ。

自己解離定数

自己解離平衡において、生成したリオニウムとリエイトの濃度の積は温度と圧力に依存する一定の値であり、これを自己解離定数、またはイオン積と呼び Kapで表す。

Kap = [H2Sol+]・[Sol]

水の場合は一般に KWで表し、

KW = [H3O+]・[OH]

である。25 ℃の場合、約10−14である。また、この対数をとって符号を変えた pKap または pKW (水の場合約14)を自己解離定数またはイオン積と呼ぶこともある。

塩基性溶液中の pH

pH の定義は溶液中のプロトンの活量、あるいはリオニウムの活量であり、

pH = −log aH

であるが、希薄溶液中では簡単に

pH = −log [H+]

で表すことも多い。酸性溶液中、例えば塩酸水溶液の pH は、塩酸の濃度 CHCl を用いて

pH = −log CHCl

と表すことができる。例えば、10−3 mol dm−3 の塩酸水溶液中の pH は3である。一方、塩基性溶液中、例えば水酸化ナトリウム水溶液の pH は、水酸化ナトリウムの濃度CNaOHを用いると

pH = −log(KW/CNaOH) = pKW + log CNaOH

によって表される。例えば、10−3 mol dm−3 の水酸化ナトリウム水溶液中の pH は約11である。このように、塩基性溶液中における pH は自己解離定数に依存する。

プロトン授受性から見た溶媒の分類

水に代表されるプロトン授受が可能な溶媒を「両性溶媒」と呼び、他にアルコール類や過酸化水素、酢酸などが挙げられる。プロトン供与性であるが受容できない溶媒を「酸性溶媒」あるいは「プロトン供与性溶媒」と呼び、酢酸や硫酸などがある。一方、プロトン受容性であるが供与できない溶媒を「プロトン受容性溶媒」あるいは「塩基性溶媒」と呼び、液体アンモニアやピリジンなどが挙げられる。プロトン供与性溶媒やプロトン受容性溶媒も一部は純溶媒中でもプロトン授受を行っている。一方、プロトン解離がほとんど起こらない溶媒は一般に「非プロトン性溶媒」として区別される。

関連項目

  • 酸と塩基
  • 水素イオン指数
  • 溶媒