高速液体クロ


高速液体クロマトグラフィーHigh performance liquid chromatography、略してHPLCということが多い)はカラムクロマトグラフィーの一種であり、機械的に高圧をかけた液体によって分析物をカラムに通し、これにより各物質が固定相に留まる時間を短くして分離・検出能力を高くすることを特長とする。 現在では分析物の注入から検出・定量までを一体化して自動的に行えるようにした装置を用いて、再現性の高い分析が比較的簡便に行える。分析化学や生化学で頻繁に用いられ、俗に「液クロ」(液体クロマトグラフィーの略)といえばこれを指すことが多い。


高速液体クロマトグラフィーにおいては各物質は比較的鋭いピークとして検出され、分離(他の物質のピークと明確に分けられる)および検出(鋭いピークにより高い感度が得られる)の能力が従来の液体クロマトグラフィーより良くなる。


移動相としては混じり合う液体なら、カラムや装置に悪影響を与えない範囲で各種のものが使用される(水や塩類の水溶液、アルコール、アセトニトリル、ジクロロメタンなどの有機溶媒)。溶媒の組成に勾配を付けて(すなわち組成を連続的に変えて)溶出を行うことも多い。たとえば後述の逆相クロマトグラフィーにおいて水/メタノール勾配を使う場合、まずメタノールの少ない条件で極性の高い物質が溶出し、その後メタノールの割合を増加させていくに従ってより極性の低い物質が順次溶出する。




目次

  • 1 機器構成
  • 2 ディテクター
  • 3 各種の高速液体クロマトグラフィー
    • 3.1 順相(normal phase)クロマトグラフィー
    • 3.2 逆相(reversed phase)クロマトグラフィー
    • 3.3 分子ふるい(size exclusion)クロマトグラフィー
    • 3.4 イオン交換(ion exchange)クロマトグラフィー
  • 4 HPLCカラム

機器構成

HPLCシステムは基本的に上流より以下の機器構成で使用される。

  • ポンプ:移動相並びに試料を送液する。
  • インジェクター:分析ラインに試料を注入する。手動(マニュアル)式と自動(オート)式がある。
  • カラム:注入された試料を分離する。カラムを一定の温度で使用する必要がある場合、カラムオーブンを用いる。
  • ディテクター:カラムで分離された試料が通過することで発生する光学的、化学的等の変化を検出し、電気信号に変換する。
  • インテグレーター:ディテクターより送られた電気信号をチャートに変換し、検出された各ピークを解釈してその積分値を算出する。インテグレーターがパーソナルコンピュータに置き換えられたHPLCシステムもある。

ディテクター

ディテクター(検出器)としては目的とする物質の性質に応じて光学的性質(吸光度、屈折率、蛍光)、電気化学的性質、質量分析法などを利用する装置がある。

各種の高速液体クロマトグラフィー

順相(normal phase)クロマトグラフィー

順相クロマトグラフィーは高速液体クロマトグラフィーにおいて最初に使われた。固定相に高極性のもの(例えばシリカゲル)を、移動相に低極性のもの(例えばヘキサン、酢酸エチル、クロロホルムなどの有機溶媒)を用いる。分析物はより極性の高いほどより強く固定相と相互作用して溶出が遅くなる。また極性の高い物質の割合が多い移動相ほど溶出が早くなる。順相タイプは近年の逆相タイプの発展とともに使われることが少なくなった。

逆相(reversed phase)クロマトグラフィー

前述した従来の順相タイプに対して、逆相クロマトグラフィーにおいては固定相に低極性のもの(例えばシリカゲルにアルキル基を共有結合させたもの)を、移動相に高極性のもの(例えば水や塩類の水溶液、アルコール、アセトニトリルなどの有機溶媒)を用いる。分析物はより極性の低いほどより強く固定相と相互作用して溶出が遅くなる。また極性の低い物質の割合が多い移動相ほど溶出が早くなる。

なお、カラムはリカゲルに炭素鎖数18のクタシル基を結合させた「オクタデシル・シリカ」すなわち「ODSカラム」が最も広範に用いられる。

分子ふるい(size exclusion)クロマトグラフィー

分子ふるいクロマトグラフィーゲルろ過クロマトグラフィーとも呼ばれ、分析物をそのサイズにより分離する。サイズの小さい分析物ほど固定相であるゲルに「引っかかり」溶出が遅くなる。

イオン交換(ion exchange)クロマトグラフィー

イオン交換クロマトグラフィーでは、無機イオンや高極性分子を電荷を利用して分離する。陽イオンタイプと陰イオンタイプの両方がある。

HPLCカラム

高速液体クロマトグラフィーの装置において分離を行う場であり、消耗部品である。一般的には、微細な(数μm)真球状の多孔質シリカゲルをステンレス製の管に充填したものが多い。目的、分離手法に応じて様々なタイプのHPLCカラムが存在する。下記に代表的なカラムメーカーを列記する。(注:Wikipediaに登録のあるもののみ)

  • シグマ アルドリッチ ジャパン
  • 資生堂
  • 関東化学