カンチレバー
カンチレバー (cantilever) とは、片持ち梁のことである。
片持ち梁は、梁の両端の一方が固定され、他方は動くことができる構造体を指す。 水泳プールにある飛び込み板は片持ち梁の代表的な形。また、材料力学などで加重・応力分布を学ぶ際の基本的な形態でもある。
目次
|
カンチレバー型をした機構の例
さまざまな機器・装置でカンチレバー構造が用いられているが、これらのなかには殆ど固有名として用いられる分野があるのでいくつかを例示する。
走査型プローブ顕微鏡用のカンチレバー
走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)においては、カンチレバーは自由端近傍に探針が形成された片持ち梁全体を指す言葉としても使われる。 被測定試料に最も近い位置にある部品であり、光学顕微鏡との比較で例えれば対物レンズに相当する。
半導体プロセスを用いて作製された小さなカンチレバーが広くもちいられ、構成材料や形状の異なる種々のカンチレバーが入手可能である。 構成材料としては、単結晶シリコンや窒化シリコンが使われる。 形状は中抜き三角形薄板や短冊形薄板が一般的。 長さはおおよそ50μmから500μm、厚さはおよそ0.1μmから5μm。 構成材料や形状の差によりカンチレバーは異なる機械特性(バネ定数、共振周波数、Q値)を示し、バネ定数は0.005N/mから50N/m、共振周波数は5kHzから500kHzの間の特性を示す。
例えば0.5N/mのバネ定数のカンチレバーを測定試料に1nm押し込めば、 フックの法則 F = − kx(F:力、k:バネ定数、x:変位) より0.5nNの力が測定試料に加わる。
一般にアスペクト比の高い、つまり、より尖った探針の方が正確なTopography(表面凹凸像)を得られる。 しかしこのようなカンチレバーは同時に機械強度的な問題を抱えることになる。 この点を改善するため近年では強度、アスペクト比ともに優れたカーボンナノチューブを探針としてもちいたカンチレバーも市販されている。
カンチレバーブレーキ
自転車のブレーキ機構の形態のひとつ。 フレームに取り付けられたレバーをワイヤーで引き上げることでブレーキシューをホイールのリムに押し当てる構造によって制動する。 シンプルな構造で泥詰まりが少ないのが特徴で、悪路を走る自転車に向く。
レコード再生用カートリッジ
レコードプレーヤーで、レコードの音溝を電気信号に変換するカートリッジに用いられる片持ち梁形状の部材。根元に永久磁石(MMカートリッジ)あるいはコイル(MCカートリッジ)などを、先端に音溝に接するスタイラス(針先)を備える。MMカートリッジでは、カンチレバー部分を交換可能な構造にしてあり、これを「レコード針」と呼んだ。
バイメタル
バイメタルは温度変化で変形するが、変位を取り出すためにカンチレバー構造で使用される。
関連項目
- 両端支持梁