村上 洋一(


村上 洋一(むらかみ よういち)は、日本の物理学者。東北大学大学院理学研究科教授。「放射光X線を使った軌道秩序の検出法の開発」で久保亮五記念賞を受賞。また「共鳴X線散乱法による電子軌道秩序の観測手法の開発とその応用」でIBM科学賞を受賞。 日本アイ・ビー・エム株式会社は、1987年創立50周年を記念し、わが国の学術研究の振興と優れた人材の育成に寄与することを目的として、「日本IBM科学賞」を創設いたしました。この賞は、弊社が従来より行っております社会貢献活動の一環として設けたものです。


1957年12月1日生まれ。専門は構造物性研究。 大阪大学大学院基礎工学研究科博士課程(物理学専攻)修了。 筑波大学物質工学系講師、東京大学大学院理学系研究科助手、 高エネルギー物理学研究室助教授を経て現職。 日本原子力研究所関西研究所放射光科学研究センター・グループリーダー。 最近の研究成果は、「放射光X線による電子軌道秩序の研究」など。


2001年より現職。著書に『新しい放射光の科学』(講談社)『実験物理学講座5, 6』(丸善)がある。趣味は、バイク,将棋,読書。家族は妻,娘1人,息子2人


「日本IBM科学賞」を受賞した 村上洋一氏の最大の業績は、物質の性質(物性)を支配する基本的な自由度である電子軌道の「秩序化や揺らぎ」を放射光の特徴を利用した共鳴X線散乱によって研究する新実験手法を開発・応用し、物性物理学に新しい研究分野を形成することを通じてわが国の物性科学研究が世界に誇れる成果を挙げたことにある。通常のX線散乱は、原子内の多数の電子による散乱によって物質の構造を知る有力な手段である。一方、物質の電気・磁気・光学的性質に重要な役割を演じる軌道の自由度を担っているのは、原子当たり数個の電子であり、それらの電子軌道状態の違いを示すX線散乱強度は極めて小さく軌道状態を探ることはできなかった。 村上洋一氏は、共鳴X線散乱では電子の軌道間遷移(X線吸収端)を利用し、原子散乱因子の異方性から電子の空間分布の周期的空間配列を決定できることを実験的に示した。さらに、近年の物性物理科学の中心的な研究課題となっている遷移金属酸化物d電子系、希土類金属化合物f電子系などの電子物性研究に適用し、長い間、予測されていた軌道秩序相転移を実験的に観測することに成功した。特に、この転移が強相関電子系物質科学の主要な研究テーマのひとつである巨大磁気抵抗効果と強い関連があることで大きな反響を呼び起こした。また、新手法を駆使することにより、ナノスケールの膜厚の軌道秩序薄膜や軌道超格子の測定に成功している。電子軌道状態は電子の運動方向を直接的に制御するために、これらの強相関電子系デバイスの発展にも本手法の適用が期待されており、基礎研究だけでなく将来の応用研究にも繋がる可能性を秘めて社会的にも価値が高いものである。


以上のように、独創的な実験手法の開発によって物性科学において磁性物理学と並び得る軌道物理学と呼ぶべき新しい研究分野の形成を先導する多大なインパクトを与えた村上洋一氏の業績は極めて大きく、本賞を贈るにふさわしいものである。

この「村上洋一」は、人名に関連した項目ですが、内容が不十分です。この記事を加筆・訂正などして下さる協力者を求めています。