臨床化学のなりたちとその存在意義

臨床化学を英語で言うと、clinical chemistry (クリニカルケミストリー)となります。病院の事を、クリニックと言ったりしますよね。実際に患者さんと接する治療の場という意味なんです。そして、その際には問診をしたり触診をしたりして患者さんの健康状態を把握するという作業が古来より行われてきたのですが、社会環境が複雑になって症状も多様化するにつれ、それだけでは判断しきれなくなってきました。

そこで、様々な科学的手法を用いて患者さんの病状を把握する方法が生み出されるようになりました。テクノロジーの発達が可能にした方法です。それにより、今までは病気ではないと診断されていたような人でも、実際は危険な状態にあるということが判明したりしました。そして早めに治療をすることができるようになり、人々のより良い生活を維持することに大いに貢献してきたのです。

しかし、一方で、この科学的手法もだんだん複雑になってくると、そこから得られた結果をいかにして分析するかということの重要性が増してきました。一見すると同じような数値が得られた場合でも、そのほかの診断結果も総合的に判断すれば、最終的な結論は全く別になるというケースがたくさんでてきます。未熟な技師にいたっては、誤った判断を下してしまうことさえあるのです。

そうなると医師も困りますが、最も災難を被るのは患者さんです。本当は健康だったのに病気だと判断されるかもしれないし、または逆に、恐ろしい病気がみすみす見逃されるということだって実際にあるのです。日進月歩の技術革新に追いつくためには、私たち臨床化学に携わる者も勉強を怠っていてはいけないと思います。そういった意味でも、こうして臨床化学のことを紹介するのは大きな意義があります。